思い出話 10 虎

バターになった虎

 木のまわりをぐるぐるまわるトラ。初めはゆっくり木を真ん中にしてまわるトラ。トラがトラを追いかけて、まわっていたように思う。2頭か、もっと多い数か、おぼえていない。尻尾をくわえあっていたようにも思う。まわるスピードは速くなり、トラの姿が見えなくなり、トラ模様の黄色だけが円盤状になっていく。時間が経過して、こわいトラの姿はみえなくなり、ぐるぐるまわっていたその場所には、バターがのこされていた。「ちびくろさんぼ」のお話しの一節。自身の記憶は、こうだ。物語の正確性とは別だ。何歳頃の記憶だろうか? ぼんやり黄色の色彩だけが思い出され、幼児期か1年生くらいか、さっぱりわからない。

びょうぶの虎をつかまえる一休さん

 とんちの一休さんにむずかしい問題をだそうととして、「では、あそこに描かれているトラをつかまえてください」と男が言った。一休さんはなんと応えたか。
── はい、つかまえてごらんにいれます。
──そのために、ここに、なわをもってきてください。
(なわが用意されると……)
──では、つかまえますから、トラをここに追い出してください。
 何歳頃の記憶だろう。小学生のときだろうと思うものの、これもさっぱりわからない。

山田利行 2019.1.29記す



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