動物から”にんげん”になった瞬間〈とき〉を発見

三本ストロー法

こんにちは

 1歳になった1月生まれの孫と公園に行った。シロツメクサが咲いていてその白い花を孫に差し出すと手を伸ばして、取った。続けてもう1本摘み、手渡すと、これも取った。3つめを渡そうとすると、すでに掴んでいたシロツメクサを片方に寄せ、そちらは2本を掴んでいる状態になり、空いた手で3本めをつかみにきた。驚いた! 静かな感動をしっかり覚えた。孫は、すでに持っているシロツメクサを放すことなく3本めを欲したのだ。その日付を覚えていないのだが、シロツメクサが咲いていたので4月だったろうか。

山田利行 2019.5.21記す


 ストローを3本用意する。3本のうち1本めをあかちゃんの目前に差し出す。誰かに抱かれていてもよいし、自立して歩行できるときはその姿勢でもかまわない。

 10か月のあかちゃんの場合、「はい、どうぞ!」と目前に差し出されても、声を発するおとなを注視するだけでストローに関心を示さない。1歳2か月の場合、ストローをつかみにくる。

 10か月、1歳2か月は喩えであって、それは前後する。めまぐるしい発達をこの時期にみせる。声を発する人に関心を示したあかちゃんが、わずか4か月後に人ではなく物(ストロー)に関心を示すことができる。不思議だけど「はい、どうぞ!」とストローを差し出すと、なぜか例外なくストローをつくみにくる。這うしかなかった子が、あるときつかまって立ち上がり、そして、誰の助けも借りずに歩き始める。ストローへの関心移行はこの経過と関係があるのだろうか。

 さて、2本めを同様に差し出す。1本めをつかんだまま、2本めは空いている手で2本めをつかみにくる。

 そして、3本めを同様に差し出す。両方の手はストローでふさがっている。あかちゃん、どうするか! どちらかの手を開放するのでストローは重力にしたがって落下する、と同時に、空いた手で3本めをつかみにくる。これが1歳2か月だ。

画期は、1歳3か月(目安)にある。

 ところが、1歳3か月は違う。落下をみない。持っているストロー2本を持ったまま3本めをとりにくるのだ。所有欲といってよいだろうか。1歳3か月も喩えだ。前後する。画期が存在するということだ。

 3本めも欲しいと思うようになった画期とは、それまで動物だったが、”にんげん”になった画期ということでもある。

山田利行 2019.4.21記す
「三本ストロー法」の命名は、山田利行による。

その2 ── 利き手を探究する

 ”あかちゃん”とはいえない1歳3か月の幼児に「はい、どうぞ!」とストローを差し出すと、幸いして幼児の関心はストローに集中してくれる。そのときだ。1本め、左右どちらの手でつかみにくるのだろうか。そして、毎回、何度繰り返しても同じだろうか。評価に耐えうる調査・実験を私はまだしていない。それを前提とした上で、右手でつかみにくるケースが多いように思う。が、このことにも関心を寄せていただきたい。右利き、左利きの早期発見につながるかもしれない。

 3本めを差し出されたとき、1歳2か月の幼児は、先に持っているストローを開放する。左右どちらのストローを開放するのだろう。その開放した手でつかみにくるわけだ。1歳3か月では開放しないで、3本めをつかみにくる。そのときは、左右どちらの手になるのだろう。以上、いろいろな場面に遭遇することになる。興味津々。


18か月認知革命

  • ウタ・フリス(2003年)『新版 自閉症の謎を解き明かす』東京書籍 2009年

p329要約
乳児期の終わりを告げる生後「18ヵ月革命」。周囲の人々から情報を収集することを通じて物事を学ぶという、新しい学習方法の始まりを意味する。この学習方式は他者の意図を探知する能力を基盤としており、子どもが言葉の意味をどのように学ぶかというその学び方に特にはっきりと見られる。また社会的な遊びの中で、子どもが仲間とどう意志の疎通をするかというそのやり方にもはっきりと見られる。
※社会的な遊び……ごっこ遊び、ふり遊び、見立て遊び

p222
生後18ヵ月の認知革命は、心理化の基礎となる脳システムの成熟の急速な進行期であり、そしてまた言葉の学習の飛躍的な発展期でもあります。ブルームは、これは単なる偶然の一致ではないと主張します。
※ポール・ブルーム……イェール大学の発達研究者

p188
心の「認知革命」は、生後18ヵ月には始まっている

p192
生後1年目と2年目の内に起きる革命的変化

p192
どんな子でもいつかは赤ちゃん時代の終わりを迎えます。もしすべて順調ならば、前とは違う、より社会的な理解の進んだ一人の人間が出現します。この時点で大きな発達上の飛躍を遂げる脳システムのうちでも、前章のテーマであった心理化のメカニズムは、以後ほとんど休みなく働き続けられる準備体制がここに整ったと私は考えます。

山田利行 2019.4.23記す
2020.11.23 更新
▶子育ての確からしさを考える

《3つの体験》& ハートスケール
 我が子には、たくさんの体験をさせたいと思う。小学生も高学年であれば、どこかに出かけたり、教育施設の体験プログラムなどに参加させてみようかと思う。幼児では、親が連れ出して一緒に遊んでみようと思う。「体験」はさまざまな場面で多用されるが、本稿では、体験を《3つ》に定義して...