松島の〈ぼら〉

東日本大震災の、ある一つの記録〈ぼら〉

 向こうに見える穴、穴、穴? 初めて見た2019年7月24日、「なんだ!」と思った。沖縄のガマが脳裏によぎったけれど、にしては、浅い……。なんだろう? あとで地元の方から教えてもらったのは、「ぼら」と呼ぶ。〈洞=ぼら〉だと思う。〈ぼら〉が並んでいる。なぜ? ここ以外にも、〈ぼら〉はあちこちに見かける。ますますわからない。不思議だ。観光資源でもない。

 ここは、日本三景の一つ「松島」に属するところで、東松島の月浜海岸。海水浴場を目前にする。写真の右上に映り込んでいる「帰り道→」という誘導板は、海水浴場へ遊びに来た車を一方通行で進行方向を案内している。そのために舗装道路があるように見えるが、〈ぼら〉前の広場(空き地)は震災前、住戸が密集していた。

 津波で家が流された跡に〈ぼら〉が出現した。
 家の裏庭にあった〈ぼら〉が並んで現れたというわけ。松島の景観は、砂岩質で出来ている。触るとざらっとする。やわらかい! 自然に出来た洞窟ではなく、人力で掘り、倉庫代わりにしていた。家屋は流され、倉庫が残ったということだ。残念ではあるけれど、震災遺構として貴重だと私は思った。〈ぽら〉が暮らしをほうふつさせる。

山田利行 2019.7.27記す
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