民話(昔話・伝説・世間話)を見直す

読みたい〈おはなし〉が見つかる!

  • my Best 絵本 3 ──2019.9.7
    1. 『きつねにょうぼう』福音館書店
    2. 『つつじのむすめ』あかね書房
    3. 『八郎』福音館書店

 このページで紹介する本は、絵本であっても、小学3年生以上になって、以前に読んだことのある本でも、読んでもらったことのある本でも、再読して欲しい。

 昔話は「むかし」のお話しとして今までつきあってきた。現代に続く時間軸を断ち切り、過去の物語として楽しむものだった、私にとって──。しかし、ふと気づいた。グリムらは時代の進歩に取り残される危険を悟り、口承文芸を文字に留めようとした。子どもを見る目、子どもを見守る社会が昔話に反映されているのではないかと──。松谷みよ子に啓発されて昔話を含む伝承文学を「民話」とした。

 伝説といい、世間話という断片的なものの中に、実は民衆の持つ切実な感情が語り込められているとするなら、それらを昔話と一つにひっくるめて、「民話」という名称でよんではどうだろう。──文献まB p56

 (民話について──)昔話のように、きちんと形の整った、語り口のはっきりした話でなくとも、創作文学でない話は全部含まれるようです。広くて便利な言葉ですが、学術語としては広すぎて使いにくい言葉です。──文献おB p122

 ──伝承的な語り手は、必ず、子どものときは聞き手でした。〈略〉だからわたしは、昔話の素朴な語り口は、それ自体が大切な伝承文化財だと思います。そしてそれは、今でも子どもにわかりやすいものなのです。だから、そういう語り口を大切にしようといい続けているのです。──文献おB p117~118

民話(昔話等)は、なぜ おもしろいか?

  • 「おもしろい」から、おもしろい。
    1. 小さい・弱い・幼い、が活躍する。
    2. うそ・ほら、知恵くらべ、が想像をふくらませる。
    3. 約束を守ったり、守れなかったり……
    4. 情熱・やさしさ・愛、そして、こわいがいっぱい。
    5. 時空を超え、夢がある。

「さかいめ」(境目)の誘惑 ── もう一つの、おもしろさ

  • 人間と、そうでないものとの境目。
  • 子どもは「はし」(端)・「すきま」に、ひかれる。
  • 大きくなりたい、変身したい。
民話(昔話等)再考
 1960年代の世相で、子育てを変質させた"事件"とは何だったのか。それを考えるヒントに民話(昔話等)の再考をしている。神宮輝夫『児童文学の中の子ども』(日本放送出版協会1974年)を読みながら、かつて30年以上前はこの種の本をありがたがってよく読んだ。"よい本"を選ぶテキスト...
参考にした人物と文献
  • 松谷みよ子 1926-2015
    • 文献まA#:『読んであげたいおはなし 松谷みよ子の民話 #』筑摩書房 2002年
      • #…上下2巻…1(上)または2(下)、「上」または「下」が入る
    • 文献まB:『民話の世界』講談社 1974年
  • 小澤俊夫 1930-
    • 文献おA#:『日本の昔話 #』福音館書店 1995年 絵/赤羽末吉
      • #…全5巻…1~5の数字が入る
    • 文献おB:『こんにちは、昔話です』小澤昔ばなし研究所 2009年
    • 文献おC:小澤俊夫/編『日本人と民話』ぎょうせい 1976年
    • 文献おD#:『語りつぎたい日本の昔話』小峰書店 2011年
      • #…全7巻…1~7の数字が入る
  • 木下順二 1914-2006
    • 文献きA:『わらしべ長者 日本の民話二十二編』岩波書店 1994年
  • 瀬田貞二 1916-1979
    • 文献せA:『日本のむかしばなし』(13話)のら書店 1998年
      • 絵/瀬川康男 梶山俊夫
  • 長谷川摂子 1944-2011
    • 文献はA:叢書「てのひらむかしばなし」(絵本)岩波書店
  • 関敬吾 1899-1990
    • 文献せけA12:『日本昔話大成 12 研究篇』角川書店 1979年
      • 「昔話の心理学的研究」河合隼雄
  • 神宮輝夫 1932-
    • 文献しA:『児童文学の中の子ども』日本放送出版協会 1974年
参考になる叢書(シリーズ)
  • 叢書a:むかしむかし絵本 ポプラ社
  • 叢書b:日本みんわ絵本 ほるぷ出版
  • 叢書c:日本むかし話 フレーベル館 瀬川康男 / 松谷みよ子
  • 叢書d:松谷みよ子むかしむかし 童心社

以下、緑字は、どれを読もうか迷ったときの目安に。

やまんば

  • 叢書a 絵本『やまんばのにしき』松谷みよ子 / 瀬川康男 1967年
    • こわいだけでないやまんば。魔物は、怖れる自分たちの心に現れるということか。
  • 絵本『さんまいのおふだ』新潟の昔話 水沢謙一 / 梶山俊夫 福音館書店 1978年
    • こわいやまんばとの知恵くらべ。
    • ❖ほかにも、おはなしが多少違って、いろいろあり。
      • 文献はA 絵本『三まいのおふだ』絵/木村良雄 2008年
      • 文献せA 所収「三まいのおふだ」
      • 叢書b 絵本『にげだしたおにばんば』中村博 / 石倉欣二 1985年
      • 叢書c 絵本『たべられたやまんば』2002年
        • 文献まA2 所収「食べられた山んば」
      • 叢書d 絵本『さんまいのおふだ』絵/遠藤てるよ 2008年
      • 絵本『三まいのおふだ』小澤俊夫 / 金井田英津子 くもん出版 2007年
  • 叢書b 絵本『うしかたと山んば』坪田譲治 / 村上豊 1986年
    • 牛が運んでいる荷物(塩サバ)をやまんばが寄こせという。全部たいらげて今度は牛を寄こせという。そして次はうしかたを。うしかたは逃げる。やまんばは追う。
    • ❖ほかにも、おはなしが多少違って、いろいろあり。
      • 文献まA2 所収「牛方と山んば」
      • 文献おA5 所収「馬方やまんば
        • 牛→馬に変わったほか、細かいところも違うが、全体の流れは同じ。
  • 絵本『まゆとおに』(創作)富安陽子 / 降矢なな 福音館書店 2004年
    • 副題:やまんばのむすめ、まゆのおはなし。知らない人にはついていってはいけないよ、というのに、まゆはおにについていきます。でも、おにがびっくりするくらいまゆは力持ち。愉快なやまんばのむすめ。
  • 絵本『花さき山』(創作)斎藤隆介 / 滝平二郎 岩崎書店 1969年

 「やまんば」は、ばば(婆)つまり女性で、これが男性だと「山んじい」というらしい。「鬼」の女性版を「やまんば」ともいうようだ。「一つ目一本足の山んじい」──文献まA2

山姥は、山母とか山女といわれることもあります。もともとは山の中にいる女の神さまとして人々に信仰されていたのですが、日本の歴史のなかでだんだんに信仰が薄れ、こわい面だけが強調されて、こわい山姥のイメージが定着してきたのです。
──文献おB p102

〈昔話〉てんとうさま金のくさり
──結末に「そばの茎」の赤いわけがでてきます  むかし、あるところに、母さんと三人の男の子がいました。三人は、太郎、二郎、三郎といいました。  ある日、母さんは、子どもたちにいいました。 「きょうは、山へ仕事に行ってくるからね。留守のあいだ、だれが来ても、戸をあけてはいけ...

笑い話(1)

昔話《どっこいしょ》

 むかし、婿どのがひとりで、となり村にある嫁さんの実家をたずねました。嫁さんの実家ではだんごをこしらえて、婿どのをもてなしました。婿どのは、これまでだんごというものを食べたことがなかったので、とてもおいしいと思ってごちそうになりました。
 婿どのは食べおわると、嫁さんの母親に、
「ああ、うまかった。これはいったい、なんというものですか」
とききました。
「これは、だんごというもんだよ。米の粉でつくるんだが、あんたの嫁も知っているから、つくってもらうといい」
「それじゃあ、うちでもこしらえてもらおう。だんごっていうんだね」
 婿どのは、かえる道みち、わすれないように、
「だんご、だんご、だんご」
と、となえながら、歩いていきました。しばらく行くと、川があったので、「どっこいしょ」といって、川をとびこえました。するとそのひょうしに、こんどは、
「どっこいしょ、どっこいしょ、どっこいしょ」
と、なってしまいました。
 家にかえりつくと、婿どのは、さっそく嫁さんに、
「きょうは、おまえの実家で、とてもうまいものをごちそうになってきた。『どっこいしょ』だ。こしらえてくれ」
といいました。ところが嫁さんは、
「『どっこいしょ』なんて、知りませんよ」
と、こたえました。
「知らないはずはないだろう。おまえの母さんがこしらえてくれたんだぞ。おまえもつくれるといっていた。はやくこしらえてくれ」
「あたしは『どっこいしょ』なんていう食べものは、きいたこともないけどねえ」
 婿どのは、なんどいっても嫁さんが、
「知りませんよ」
というばかりなので、とうとう腹をたてて、すりこぎで嫁さんの頭をこちんとたたきました。すると嫁さんは、
「痛い、痛い。ほら、だんごのようなこぶができたじゃありませんか」
といいました。これをきいた婿どの、
「ああ、そのだんごだ」
といったそうな。

──文献おA5 より

鬼・天狗

  • 叢書a 絵本『こぶとり』大川悦生 / 大田耕士 1968年
    • 叢書b 絵本『こぶとりじい』宮川ひろ / 箕田源二郎 1985年
    • 絵本『こぶじいさま』松居直 / 赤羽末吉 福音館書店 1964年
    • 叢書d 絵本『こぶとり』絵/村上康成 1996年
    • 文献おA3 所収「こぶ取りじい」
    • 文献まA2 所収「こぶとり」
    • 文献きA 所収「こぶとり」
  • 絵本『ソメコとオニ』(創作)斎藤隆介 / 滝平二郎 岩崎書店 1987年
  • 絵本『だいくとおにろく』松居直 / 赤羽末吉 福音館書店 1962年
    • 文献おA2 所収「大工と鬼六」
    • 文献きA 所収「大工と鬼六」

宮沢賢治「 注文の多い料理店」(創作)……こわい話

  • 青空文庫
  • 平凡社 別冊太陽 2001年『読み語り絵本100』※付録CDに朗読あり
  • 重厚な木版画・絵本 『注文の多い料理店』偕成社 1984年

きつね

  • 絵本『きつねにょうぼう』長谷川摂子 / 片山健 福音館書店 1997年
    • 哀切な物語。びんぼうな男の家に、旅の女がやってきた。女はよく働いて、かかになった。男の子がうまれて3つになったとき、女はうっかりしっぽを3つのぼうやに見られてしまった。きつねと知られてはもうここにはおられねえ。「かかが まもってやるすけ いっぺ まんまくって おおきくなれや」 渾身の絵筆がすばらしい。
      • 文献おC p19(武田正の談)──こういう経験があるんです。あのへんは山形、新潟、秋田あたりまで瞽女(ごぜ)さんがよく回ったわけですよね。その瞽女さんの一番ポピュラーなお話というのは狐女房なんです。それを聞くと涙が出てだめだと。ぼくがどういう話だったというふうにお話をお聞きしたら、途中で泣き出したんですよ。九十近い方だったんですよ。あと、きょうはとてもだめだと。もう少し気晴れたときに、また遊びに来ないかといわれたことがあるんです。ほんとに打ち込んで──。
  • きつねの花嫁
  • ごんぎつね

たぬき

  • 叢書c 絵本『かちかちやま』2002年

おおかみ

  • 絵本『おおかみと七ひきのこやぎ』グリム童話
    • フェリクス・ホフマン / 瀬田貞二 福音館書店 1967年
昔話《送り狼》

 昔、男が旅をしていると、狼が現れてあとをついてきた。
 狼が大きな口を開けて近づいてきたので、男はもう食われるだろうと覚悟したが、開いた口の中をふと見ると、魚の骨が刺さっていた。
「ああ、これが痛いのだな」と思って、男はこわいのを我慢して、狼の口の中へ手を突っ込んで骨を取ってやった。
 ところが狼はまだ男のあとをついてきた。男は、今度こそ食われるに違いないと思ったけれど、どんどん家に向かって歩いていった。
 狼は家までずっとついてきて、男が家に入るとどこかへ消えていった。男は、家まで安全に帰れるよう、狼がついてきてくれたのだとわかった。

──文献おB p103 より

『新明解国語辞典第三版』で調べると「送り狼」の見出しがあり、(1)山中などで、人のあとをつけねらうオオカミ。(2)(女を)送って行くふりをして悪いことをする男。──とある。もしかして(1)は昔話のことではないか。

笑い話(2)

昔話《朝顔と朝ねぼう》

 むかし、あるところに、たいへん朝ねぼうの男がいました。男は、朝顔の花が咲くところを、いちどみたいと思っていました。けれどもおきてみると、いつももう、咲いたあとでした。
 ある朝、「きょうこそは」と決心してほんとにはやくおき、朝顔のつぼみのそばでまっていると、まもなくつぼみが、ゆっくりほどけるようにひらいてきました。
「ああ、なるほどなあ。こうして咲くのか」
と、おおよろこびしてみていると、朝顔の花がまた、しゅうしゅうっとしぼんでいきます。男が、
「なぜ、しぼむ」
というと、朝顔が、
「おまえがおきているので、昼かと思った」

──文献おA3 より

仲間、力あわせて

  • さるかに
    • 叢書a 絵本『さるかにばなし』西郷竹彦 / 福田庄助 1967年
      • 「きびだんご」登場!
    • ❖ほかにも、おはなしが多少違って、いろいろあり。
      • 叢書c 絵本『さるかに』2002年
        • 文献まA2 所収「猿蟹」
      • 絵本『かにむかし』木下順二 / 清水崑 岩波書店 1959年
        • 文献きA 所収「かにむかし-さるかに-」
        • ここにも「きびだんご」登場!
      • 文献おA4 所収「猿かに合戦」
      • 文献まA2 所収「猿蟹」
  • ももたろう(A:非変身)※B:変身型↓下段
    • 叢書a 絵本『ももの子たろう』大川悦生 / 箕田源二郎 1967年
    • 絵本『ももたろう』松居直 / 赤羽末吉 福音館書店 1965年
  • 絵本『ねずみのすもう』大川悦生 / 梅田俊作 ポプラ社 1977年
    • 文献おA5 所収「ねずみのすもう」

「おおきなかぶ」と「だいこんどのむかし」

  • 絵本『おおきなかぶ』ロシアの昔話
    • トルストイ / 内田莉莎子 / 佐藤忠良 福音館書店 2007年
  • 叢書b 絵本『だいこんどのむかし』渡辺節子 / 二俣英五郎 1984年
    • たねをうんとまいたのに、芽が出ない。心配しているところにたった一つ芽を出した。それが、だいこん。村じゅうみんなで大切に育てた。おおきくなってねぇ。「おおきなかぶ」のようにみんなでひっぱった。でも、びくともしなかった。しかし、ひょんなことから、だいこんどの、じぶんで村を勝手に出て行った。さて、……。

巨樹・巨木・おおきな木

  • 斎藤隆介 / 滝平二郎 絵本『モチモチの木』(創作)岩崎書店 1971年

ある日、変身! あるいは、こつこつと精進。

  • ももたろう(B:変身型)※A:非変身↑上段
    • ※きびだんごを「ひとつはやらん、はんぶんやる」型
      • 叢書d 絵本『ももたろう』絵/和歌山静子 2006年
      • 文献まA1 所収「桃太郎」
    • 文献おA3 所収「桃太郎」
  • わらしべ長者
    • 叢書a 絵本『わらしべちょうじゃ』西郷竹彦 / 佐藤忠良 1968年
    • ❖ほかにも、おはなしが多少違って、いろいろあり。
  • さんねんねたろう
    • 文献きA 所収「三年寝太郎」
    • 叢書a 絵本『三ねんねたろう』大川悦生 / 渡辺三郎 1967年
  • 叢書a 絵本『ちからたろう』今江祥智 / 田島征三 1967年
  • 斎藤隆介 / 滝平二郎 絵本『八郎』(創作)福音館書店 1967年(1950年)
    • Wikipediaによると、「初出は、秋北中学生新聞 1950年」とある。
    • 八郎潟・寒風山 伝説ふう
    • 文献しA p153──『八郎』には、一人の人間の思想が大胆に簡明に表現されていた。〈略〉『八郎』は直截な自己表現の実例を示した
  • 斎藤隆介 / 滝平二郎 絵本『三コ』(創作)福音館書店 1969年
    • ふるさと秋田 (三コは「三湖」か?)伝説ふう

賢人はだれか?

  • 絵本『ならなしとり』峠兵太 / 井上洋介 佼成出版社 1993年
    • ゆくなっちゃ がさがさ / ゆけっちゃ がさがさ。ささがこうささやいたと。「ゆけっちゃ がさがさ」のとおりに行くのだよ、といわれたのに……。
    • ❖ほかにも、おはなしが多少違って、いろいろあり。
      • 文献きA 所収「なら梨とり」
      • 文献まA2 所収「なら梨とり」
  • 絵本『三びきのこぶた』イギリス昔話
    • 瀬田貞二 / 山田三郎 福音館書店 1967年
  • 絵本『三びきのやぎのがらがらどん』北欧民話
    • マーシャ・ブラウン / 瀬田貞二 福音館書店 1979年
    • がらがらどん、みんなが賢人。
つつじ
絵本『つつじのむすめ』  民話研究家の松谷みよ子が再話し現代(1974年)にリライトしている。燃える心を描いた絵は丸木俊だ。子ども向けとしては小学1年生で読めるが、おとなも読んで欲しい。 ◆ 物語  むすめと若者は、山を5つ越えて出会った。若者のまつり...

欲ばりと、むりやり

  • はなさかじい
    • 青空文庫
    • 文献おA1 所収「花咲かじい」
    • ❖ほかにも、おはなしが多少違って、いろいろあり。
      • 文献まA1 所収「花咲かじい」
      • 文献せA 所収「花さかじい」
      • 文献はA 絵本『はなさかじい』絵/伊藤秀男 2008年
      • 叢書a 絵本『はなさかじい』吉沢和夫 / 桜井誠 1968年
      • 叢書c 絵本『はなさかじい』2002年
      • 絵本『花さかじい』椿原菜々子 / 太田大八 童話館出版 2011年
  • したきりすずめ
    • 文献おA2 所収「舌切りすずめ」
    • ❖ほかにも、おはなしが多少違って、いろいろあり。
      • 叢書a 絵本『したきりすずめ』松谷みよ子 / 村上幸一 1968年
      • 叢書c 絵本『したきりすずめ』2003年
      • 文献はA:『したきりすずめ』絵/ましませつこ 2004年
  • ねずみのもちつき
    • 絵本『てんぱたん てんぱたん ねずみのもちつき』梶山俊夫 1995年 福音館書店
      • 欲ばりじじ、悪さして穴から出られなくなり、暗い土の中をもくもく掘ったと。それで、もぐらになってしまったと。
    • ❖ほかにも、おはなしが多少違って、いろいろあり。
      • 文献おA5 所収「ねずみのもちつき」
  • 灰かぶり(シンデレラ)
    • 『語るためのグリム童話 2』所収「灰かぶり」小峰書店 2007年
      • 小澤俊夫/監修 小澤昔ばなし研究所/再話 オットー・ウベローデ/絵

見るなのタブー

 理由もなく「見てはいけません」と言われると、見たくなるもの。禁を犯してとびらをあけると、たとえばそこに4つのとびらがある。一つは「春」次は「夏」と〈四方四季〉。異界のユートピアだったりする。そして、ついに天罰が下る。

  • 絵本『みるなのくら』小澤俊夫 / 赤羽末吉 福音館書店 1989年
    • 文献おA1 所収「みるなのくら」
    • ❖ほかにも、おはなしが多少違って、いろいろあり。
      • 文献まA1 所収「見るなの花座敷」
      • 文献きA 所収「見るなのざしき」
  • 文献まA1 所収「鬼の目玉」

希望、愛

〈民話〉座頭の木
転記にあたり ── 用字や句読点を間違わないようにしました。読みにくいところ、意味がとりにくいところは、そこにこだわらないで読み飛ばしてください。 出典:松谷みよ子『読んであげたいおはなし 松谷みよ子の民話 下』2002年 筑摩書房 ── お話し ── はじまりぃ ...
  • 「師番の赤馬」文献おA2 所収 八重山の民話
    • 師番(しばん)は若者の名。どこからともなく海を渡ってきた名馬、赤馬。評判をききつけた琉球の王はわがものにしようとしたが果たせなかった。名馬と知り師番に返す。だが、次にききつけた薩摩の藩主は……
  • 絵本『スーホの白い馬』モンゴル民話 大塚勇三 / 赤羽末吉 福音館書店 1967年
    • ある馬頭琴の話。
  • 絵本『かさじぞう』瀬田貞二 / 赤羽末吉 福音館書店 1961年
    • 文献おA5 所収「笠地蔵」

時空を超えて

  • 叢書a 絵本『うらしまたろう』
    • 絵本『うらしまたろう』小澤俊夫 / 金井田英津子 くもん出版 2016年
      • 玉手箱をあけて鶴になった浦島太郎は乙姫の亀と再会する結末に驚かされる。
    • 文献おA1 所収「浦島太郎」
  • はごろも伝説(天人女房 てんにんにょうぼう)
    • *川 … 結末、「天の川」に関連づけられる。
      • 文献おD3 所収「天人女房」*川
      • 文献おA3 所収「天人女房」*川
      • 絵本『天人女房』稲田和子 / 太田大八 童話館出版 2007年 *川
      • 文献まA2 所収「天人の嫁さま」
      • 文献きA 所収「天人女房」
      • 絵本『てんにんのはごろも』堀尾青史 / 朝倉摂 岩崎書店 1991年
      • 絵本『てんにんにょうぼう』渡辺節子 / 梅田俊作 童心社 2000年
        • 「笛の音」型

昔話の、発端句と結末句

 (昔話の)話が終ると、「どんとはれ」とか「これでいちごさけた」という意味不明の言葉で締めくくります。これは、「架空の話はこれでおしまい」という宣言で、結末句といいます。昔話は架空の話、うそっこの話ですから、とんでもないことが平気で起きます。そのとんでもないことをそのまま楽しんでくれよ、という宣言なのです。

──文献おB p121

「これから、昔語りの世界が始まりますよ」そして「これで昔語りは終わりました」ということを宣言するのです。
 たとえていえば油絵で付ける額縁というのは、外の日常的、経験的な世界とこの中の世界は全く違うものだということをはっきり示すものでしょう。
 昔語りの場合その額縁に相当するのがこの形式句ではないでしょうか。だから、そのことばは意味などわからなくてもいいんで、結末に「昔こっぷり」とか、「いちご栄えた」「いんつこまんつこ」とか言うのをどんな意味ですかいっても答えられる語り手は少ないわけです。だけども、もとの意味などはどっちでもいいんで、古くからいい伝えられてきて、日常的なことばでないほうがむしろ、そういう宣言のことばとして威力がある、印象強いと思います。

──文献おC p25 稲田浩二の談

 文献おC p25-27 には、ヨーロッパの昔話にも発端句と結末句があり、日本との違いにも触れている。昔話蒐集の体験から、多くの事例がとりあげられている。関心のある向きには参考となるであろう。

子育てと時制と、昔話

 50年余前、広い屋敷の中で、灯(白熱球)があったのは「この部屋だけ」という農家を訪ねた。私が子どもの頃、1960年代でも、子どもは夜8時には寝るものと決まっていた。夜は「暗かった」。昔話(口承説話)はどんなシーンで行われていたのだろうか。
 子育てをつらつらと考えるとき、時間を逆戻しにはできないけれど、昨今、子どもが被害者になる凄惨な事件に出会うたび、戦後しばらくののち1960年代を境に子育てを見失ってしまったその結果ではないかと確信をもって思うことがある。
 そして、いま「昔話」を検証していて、その語りが灯ひとつの団欒で子どもに聞かせていたことを想像すると、その重みをしっかり受けとめることの必要を思い、打ちのめされる。(山田利行 2019.8.24)


 じろも さぶろも おはるも こい。
 いろりさ きて、火っこ あたれ。
おらが わらしで あった とき、
まいばん、おらの じいさまやら ばあさまやらに
きかされた ももの子むかしを かたるから……

──叢書a 『ももの子たろう』


おばあちゃんがすぐれた語り手であれば、孫が語り手に育つということは十分にあります。聞き手はそのおばあさんから自分のものそっくり収めるまで、いく晩でもつづいて同じ話を聞くことができます。すぐれた語り手というものはもともと話が好きだから、いく晩聞いても聞きあきない。いく晩でも聞いて、昔話の体質というか、構造的なものをつかむんだと思うんです。(小澤俊夫の司会による鼎談で、稲田浩二の話。あと一人の鼎談相手は武田正)

──文献おC p17

わたしの経験ではいい語り手は男が一に対して女は一〇ぐらいですね。百話クラスのすぐれた語り手は、ほとんど女ですね。(括弧内、同上)

──文献おC p18
「百話クラス」…百話程度の語りができる語り手のこと

 

昔話の残酷を嫌う傾向は……1980年代に
──小澤俊夫 2009年『こんにちは、昔話です』p158より 昔話の残酷を嫌う傾向は日本経済の高度成長と比例している  わたしは1952年から昔話の研究に入ったのですが、そのころは昔話は残酷だという意見はまったくありませんでした。そういう意見が耳に入るようになったの...

備忘のために

  1. 昔話は合理的な観点からすれば、荒唐無稽に見えながら、前述したような知に満ち、人間の全体性を回復するはたらきを持つために、時代をこえて語りつがれ、喜んで聞かれてきたと考えられる。
    • ──文献せけA12 p151「昔話の心理学的研究」河合隼雄
  2. 母という場合、われわれの個人として母の存在がもちろん大きいが、われわれはその背後に、「母なるもの」と呼びたいほどの個人を超えた存在を感じている。
    • ──文献せけA12 p154「昔話の心理学的研究」河合隼雄

山田利行 2019.9.2記す
▶“The Renaissance of Childhood” Project 子ども期の、再生(ルネサンス)