野外における体験活動保育 運用指針(ひな形)

── 野外体験活動保育マニュアル ──

【*】印は、さらに詳細な規定等が必要。後段に表記。

1: 総則

1-1. 定義

野外における体験活動保育(以下、野外体験活動とする)とは、施設の敷地外を活動の場所とし、散歩など軽度の活動を除き、事前に「野外体験活動保育計画」【*】を作成して行う保育をいう。

1-2. 対象児

  1. 3歳児クラス、4歳児クラス、5歳児クラスを対象とする。
  2. 対象児未満であっても、はだし保育や感覚保育、食事・衣服・運動など、野外体験活動につないでいく保育(日常活動)を念頭におき、発達は連続しているとの認識にたつ。

1-3. 目的【キリスト教保育に適った表記→*】

  1. 五感)生得的五感【*】をより育み、知的発達を促す。
  2. 生命)いのちと触れ合い、美と躍動と調和を体験することで畏敬の念【*】を育み、向上をめざす意慾を身につける。
  3. 共感)ひとは野生のいのちとともにあり、互いに共感し分かち合い、多様な価値を受けいれられる心を養う。

1-4. 「指針・要領」との対照

野外体験活動はその成果について、対照を可能とし、確認できることとする。

1-5. 障がい児への配慮

障がいの属性にしたがって、目的が効果的に達せられるよう配慮する。


【*】「野外体験活動保育計画」の最小必要項目……時間配分、安全確保留意点、到達目標
【*】キリスト教保育に適った表記
1.(五感) 神様から授けられた五感に感謝し、五感をより育み、知的発達を促す。
2.(生命) いのちと触れ合い、美と躍動と調和を体験することで畏敬の念を育み、神様とともにある歓び、向上をめざす意慾を身につける。
3.(共感) ひとは野生のいのちととも神様に守られ、互いに共感し分かち合い、多様な価値を受けいれられる心を養う。
【*】生得的五感……たとえば「五感を鍛える」の場合、五感は後年になって取得すると捉えられそうだが、これを退け、五感は生得的とする。生まれながらに備わっている五感を、減退させることなく、個々に応じて、その発達を保障したい。
【*】畏敬の念……「感動する」と同意。

2: 安全の確保と事故への配慮

2-1. 安全の確保と事故への配慮

  1. 下見は必ず行い、危険箇所を確認する。
  2. 携帯電話の電波が到達しない場所を確認する。

2-2.「軽度のケガ」の定義

野外体験活動を行うにあたって、「軽度のケガ」を次の条項で定め、「軽度のケガ」を超える事故を防ぐように努める。

2-2-1.「軽度のケガ」は、次にあてはまることとする。

  1. すり傷、切り傷、刺し傷、打撲傷。これらすべてに「軽い」という形容詞がつく。携行している水、救急用品で初期の手当てが行え、医療行為とならない程度のケガをさす。
  2. 手足の部位に限る。
  3. 開放的なケガは出血の少ないこと、開放的でないケガは痛みの少ないこと。
  4. 木登り、フジづるでぶらんこするなど、自然物をつかっての遊びについて、十分な安全確保をとった上での行為で負ったケガで上記の項目に該当する範囲のケガをさす。
  5. 鼻血は、直接圧迫法によって5分以内で止血できる程度をさす。

2-3.「軽度のケガ」以上の事故対応

  1. 「軽度のケガ」でないケガを対象とする。
  2. 同伴する指導者の1人以上が、日本赤十字社が行う救急法を受講し認定を受けその有効期間にあること。日本赤十字社が行う幼児安全法を受講しておくことが望ましい。
  3. 「軽度のケガ」であっても当日を含む2日間の経過観察を怠らない。

3: 野外体験活動における現場留意事項

次項で留意事項(見出し)を列挙する。事項の詳細は個別に必要だが、ここでは定めず、点検の参照とする。

  1. グミ、ノイチゴ、ドングリなど野生種の採取やそれらを食べる体験活動で留意すること
  2. 山水を飲むなど原体験で留意すること
  3. 田植え、稲刈り等、収穫行事のうち労働を伴う体験で留意すること
  4. ヘビ、ハチ、野犬、イノシシ、サルなど危険に遭遇する可能性のある体験活動で留意すること
  5. 毒草、キノコ、トゲのある植物などに遭遇する可能性のある体験活動で留意すること
  6. 落鳥、死骸に遭遇した場合の対応で留意すること
  7. 海、川、池、湖沼とその周辺、崖、落石、田畑などで想定される事故で留意すること
  8. 気象現象の急変、地震等の遭遇、高温・低温に関して留意すること

4: 野外体験活動における準備等周辺事項

4-1. 服装、携行品の標準

通年で、帽子、長袖シャツ、長ズボンを原則とし、肌を露出しない。夏の暑い時期については半袖・半ズボンを認めるが、2時間以内の活動とし、直射日光を可能な限り避ける。服装を薄着としたときは、軽度のケガであっても、ケガの防止、事故の防止に努める。

4-2. 交通安全指導および交通事故の回避に努める。

公共交通機関利用時、貸切バス使用時は、交通道徳やマナーを身につける。信号機のある交叉点だけでなく、道路歩行時のルールを身につける。

4-3. 田園や山野等で出会った人たちに挨拶をして気持ちのよい時間をつくる。

5: 専門性の考え方

5-1. 専門性の考え方

野外体験活動保育を行うにあたって、動植物または自然領域の専門的知識あるいは技能を指導者に求めない。求められる専門性は、幼児教育に沿うものであり、領域「環境」のみならず領域を横断して総合的見地に照らす。

5-2. 言葉(語彙)の獲得を目標に立てることが望ましい。

体験を定着させるには言語化が必要で、過度な誘導をしないよう配慮しながらも、積極的な表現を期待したい。

6: 到達または発達保障の目標

6-1. 共感は、評価を一様に定められない。

幼児の発達は、幼児の心身が自然に対して共感することにより促される。野外体験活動保育は共感を生じさせる活動であり、人為的でないことから、到達目標の設定や評価を一様に定めることはできない。

6-2. 共感の効果(成果)をみるには、指導者の誘導を最小限に控えることが肝要である。

6-3. 到達または発達保障の目安(例示)を事項にあげる。

  1. 自然の音(鳥など動物の声、水や風の音)をきくために静かにできる。
  2. 休息をとる目的に適した体位がとれる。
  3. 空を見上げる体位をとることができる。
  4. 衣服が汚れてもむやみに嫌がらない。
  5. たとえばダンゴムシをみつけるためにひっくりかえした石をもとにもどせる。
  6. 流れる小川に足をつけることができる。
  7. いきものを自然に返すことができる。
  8. みつけた(発見した)よろこびを友達に伝えようとする。
  9. 危険回避、安全確認を行おうとする。
  10. 日常活動で、野外体験活動の影響が反映されていると思われる活動がみられる。

6-4. 評価の方法

到達の度合いについて、数値化は困難だが、ある体験に対応させて、「5 よくする 4 することがある 3 する場面があった 2 あまりみられない 1 みられない」のように評価することは可能かもしれない。

以上 ── 野外体験活動保育マニュアル ──

山田利行 2020.5.11提案
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