階段道(かいだんみち)

幼児は、なぜ山登りが平気なのか?

 「階段道」という言葉は一般的ではないだろう。住宅の階段があるところは階段室だ。社寺は100段を超える階段が多くあり話題になったりする。
 そして、ハイキング道として整備されているところにも人の手によって作られた階段がある。それを「階段道」としてみた。
 汗を拭き拭き、息を整えながら山道を歩いていて、階段道に出会う。短いとホッとするが長いとどこまで続くのか?と思ってしまう。高度を稼げて景色がよくなる利点はあるけれど、階段道のために山登りを敬遠することにもなる。
 ところで、階段道の段差は〈おとなサイズ〉だ。幼児の身長と比較して、おとなの身長は1.5倍を超える。ということは、階段のおとなサイズ段差は、幼児には1.5倍のストレスになる。実際、手をついて上がるときもある。肥満気味の幼児には忍耐を必要とすることにもなる。
 にもかかわらず、100段超えの階段道であっても、幼児の場合、通り過ぎれば体力も気力も回復が早い。なぜだろう?

2020.12.3

 階段の段差

 戸建て住宅や集合住宅の階段は16cmが一般的だ。私が住む集合住宅の場合、4階まででちょうど50段。16cm×50=8m(住戸としては3戸分の高さ)。保育園の階段は段差約16cm。幼児対応でなく住宅と同じ。治水ダムにある階段は300段を超えるが段差約16cm。公園の遊具は自然石を加工していて均されているが20cmぎりぎりもあった。階段の段差は20cmを超えないように設計されているらしい。

(左)おだやかで階段のない山道
(中)歳月を経た階段道
(右)整備されたハイキング道

 美しいまち並み。こうした高層住宅で階段を利用しようとする人は少ないだろう。100段で到達する階はどのくらいになるのだろうか。山道なら、仕方ないというより当たり前、選んだ道だし、体力は消耗するが達成感が伴う。幼児も達成感を感じているようだ。


幼児 登山の実際

 神戸のハイカーに知名度の高い六甲山縦走路。西方、菊水山(459m)から有馬街道を越える吊り橋(270m)まで下り、鍋蓋山(486m)に向けて再び急坂を登る。健脚のおとなでも難所の山道を5歳児クラスの子どもたちが笑顔をみせて登る。
 すれ違う老夫婦の会話。保育園の子らと知って「孫もこんなことできるんやろか……」。この写真は12:48撮影。子どもがつぶやく。「おなかすいたあ~」
 5歳児になれば誰でもこんな山歩きが出来る、というのではない。0歳児から裸足保育を実践し、園庭の水たまりに乳児がいることもある。散歩→野外活動へと進み、鍋蓋山への登山がゴールとなっている。到達可能な活動が示されている。

では、なぜこのような厳しいとも思える山歩きが幼児に可能なのか?

 それは、まだわからない。ある整骨師にこの問いかけをしてみたところ「インナーマッスルのせいではないですかねぇ」と返答された。そのとき、私は初めて耳にした用語だったが、今ではこんなふうに考えている。
 乳児が、寝返りしたり、這い這いしたり、立ち上がったり、これらはインナーマッスルのせいだろうか。筋肉もりもりの幼児はいない。インナーマッスルが登山を可能にしているのだろうか?

山田利行 2020.12.3記す
▶野外体験活動保育の手引き

豊かさとは何か、を問う〈4〉
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上のリンク──戦争で負けて、まだまもない頃の話。小学校の先生は戦争で負傷し、足が不自由で義足だった。2年生のお別れに、みんなで学校の裏山に登ろう!ということになった。参加は自由だったけれど、
──家の人にそうだんして、いける人だけがいくことにしたのだが、しらべてみたら、みんながいくことになってしまった。──
 2年生が終わって3年生に進級するという春休みに……。

  • 坂本遼『きょうも生きて[第一部]』偕成社文庫 1977年 p319~344

 さて、裏山に登っての下り道、先生が転んだ。子どもたちが先生をかついだ。
──小久保先生は、担架の上で、ないている。両手のこぶしで、かわるがわる目のところをふいている。五十五人の子どもたちのあたたかい心が、たまらなかったのだ。──
 当時の子どもはこれほどにやさしく体力があったのだ。

“The Renaissance of Childhood” Project
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