幼児の、野外活動で遭遇する動物の危険

出会う可能性を考慮して、最も危険と思われるのが、スズメバチ

スズメバチ

オオスズメバチ

2009年9月30日撮影。ビデオは同年10月1日撮影。いずれも神戸市北区の住宅地に隣接する里山にて。

「クマバチ」の誤解を解く

5月、紫色の花が満開。この藤棚に集まる「やさしいハチ」が「クマバチ」だ。

フジ

クマバチ

レンゲのみつを吸うクマバチ

クマバチはおとなしいハチで、攻撃性はない。ところが、ややこしいことに、地方または人によっては、スズメバチを「くまばち」または「くまばち」と呼ぶことがある。スズメバチは時に攻撃的でこわい。「クマバチ」はこわくないけれど、「くまばち」「くまばち」はこわい、ということになる。マザーグースに登場する「まるはなばち」はおとなしいはちで「クマバチ」と同じ仲間だ。

クマバチとスズメバチを区別した上で、スズメバチについては、人家近くでよくみられるものとして、オオスズメバチとキイロスズメバチの2種類がいる。縞模様の巣がキイロスズメバチ。

秋10月頃、巣を分ける活動が始まると気が荒くなり、攻撃的になりやすい。オオスズメバチは木の幹、地面に近い所に巣をつくるので発見が遅れやすい。

──野外活動で子どもの集団が歩く。
──歩く振動でスズメバチの偵察が1ぴき飛んでくる。
──その1ぴきを追い払ったりすることで、危機を感じ、仲間のハチを連れて襲ってくる。
──巣に気づかず、巣に異常に近づくとハチの集団にやられる。
──ハチは黒いものを狙うので、頭がやられる。
──子ども集団の場合、子どもよりも引率しているおとなの背が高いこともあって、刺されるのはおとなであることが多い。シーズン中はしばしば新聞記事になる。

こういう被害の様相になる。秋の山では特に危険が高まるので、下見を行って危険を避ける必要がある。

アシナガバチ、ほかハチ類

攻撃性のあるハチは、スズメバチとアシナガバチくらい。それ以外のハチはむやみに刺さない。ただし、巣を攻撃されたり、つかまれたりするなどで危険を感じれば、刺す針はもっているので刺されることがある。

通常は、刺されても「痛い」程度ですむ(刺されるとかなり痛い)。アレルギー体質や、過去にハチにさされた体験があると抗体が出来ているなどして、重症になることがある(アナフィラキシーショック)。クマバチやミツバチなど、比較的おとなしいハチでも、こわいときは離れる程度で対応しよう。

野犬やイノシシに出会ったら

私は、里山で何度か野犬に出会った。出会うということは、目と目が会うということだ。その瞬間、こわくて動けない。野犬の方も、出会った瞬間は驚いているためか動かない。しばらくにらみあって、その後、野犬に背を向けて必死に走って逃げた。もとの道に戻ると、野犬はいない。こわくて犬も逃げたようだ。つまり、私たち人間もコワイが、動物もコワイのだ。経験的には、スズメバチやマムシより、私は野犬が一番こわい。

経験と多少の知識でしか説明できないが、目を合わせることは、敵対関係をあらわすことになるらしい。目が合ってしまったあとは、にらみ合いで負けないように心を強くし、その直後に一心不乱、尻をみせて走って逃げるしかない。おそらく、相手の動物も同じ行為をしているのだろう、確かめようはないが……。

マムシ・ヤマカガシ

危険な動物の話をすると、必ずといってよいほどに「マムシ」についてきかれる。ヘビをこわがる人は多い。出会いたくないと思いながらも、ヘビに出会う。ヘビもしまった!と思っているだろうから、逃げるところを目撃することになる。ヘビは逃げている最中だから、放っておけば安全だ。

しかし、マムシは、逃げない。木の陰、石、岩のあいだに隠れてジッとしている。じつは、人間を怖がっている。逃げ方が違うというだけ。隠れるということは、目立たない。日当たりよりも日陰。マムシは暗いところにいる。図鑑などで説明されている「頭が三角」という見分け方は素人には役立たない。

晩秋、気温が低くなる頃、マムシではないヘビは、体温を上げるために日向ぼっこしている。あぜ道や林道、車道でからだを伸ばしている。だから、目立つし、逃げる音も大きい。

マムシの危険を避ける方法は、マムシのいそうなところがわかるようになる必要がある。マムシの被害は農作業でのことが多く、一般のハイカーらが被害にあうことはほとんどない。ただし、テント設営などで林間をうろうろし、たきぎや石を拾う作業をするときは危険。夜は車道にも現れる。

ヤマカガシも毒蛇の仲間だが、攻撃性はない。比較的おとなしいので遊び半分で捕まえると、かまれることになる。

道に迷う危険

人生訓のようだけど……

  1.  地図は、迷う前にみる。 迷ってからみるのは、おそい。
  2.  人の後ろを100回「連れられて」も道は覚えられないが、たった1回先導するだけで、道は覚えられる。
  3.  「行く道」と「帰る道」、同じ道でも向きが変われば景色も変わる。これはけっこう危険。解決策は、下見を十分に行うこと、これに尽きる。

カメ、ザリガニなど、小動物をさわったあとは必ず手洗いをする

外来生物の危険

野外で死んだ野鳥をみつけたときは、体重を測ったり、羽をひろげたり、足の動き方を観察したりと、よい機会だった。しかし昨今は、落鳥の原因を、鳥インフルエンザを念頭におくこともあって、子どもに直接さわらせることを私はためらうようになった。

外国からの侵入生物の危険がしばしば報道される。危険だろうことを否定しないが、野外生物に対する基本的な接し方は変わらない。必要に応じて情報を確保し、冷静に対処することが肝要と考える。


【考えてみよう】
蚊に刺されないようにしてください ── 保護者の要望

みなさんは、どう思いますか? そして、どう対応しますか? 昨今は「デング熱」の感染が報じられることにより、蚊の発生場所を減らすために、草刈りにも神経質になっている傾向があるようです。

蚊に刺されない方法があるのでしたら、誰もがそれを実践することでしょう。しかしながら、有効な方法はなかなかありません。人体から発生する炭酸ガスを蚊が感知するということから、空気のよどんでいるところをさけて、風通しのよいところに移動すれば、蚊が寄りにくいということはあるようです。この方法では、常に空気の動きを注視していなければなりません。炭酸ガス発生装置をつかって蚊を集める機器もあります。

虫よけスプレーには殺虫剤成分「ディート」を含むものが多くあります。安全性に不安があり、幼児に対しての使用は避けたいですね。

蚊に刺されないようにするには、どうすればよいのでしょう? 蚊の発生場所(水たまりなど)を減らすことは有効でしょうが、田園地帯に立地していれば襲来をさけられません。私は、蚊の多いところから逃げ出すしか考えが浮かびません。