乃南アサ、の場合 ── 九歳の旅立ち 事例01

乃南アサ 1960年生まれ 小説家

背表紙を眺める / 随筆

(乃南は幼少時、両親と一緒に寝ていた。枕元に積み上げられていた両親の本の背表紙を眺めていた)
布団に入ってから眠りにつくまで、それらの本の背表紙を眺めるのが習慣になっていた。
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「眺める」ものだった本を初めて手にしたのは、小学四年生の時だった。
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その時に、母が初めて、緑色の文学全集の中から一冊を選んでくれたのだった。
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母が手渡してくれたのは『ジェーン・エア』だった。
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それが、私が「大人の本」を読んだ最初だったと思う。

  • 出典 / 『日本の名随筆 別巻67』 作品社 1996年発行
  • 作品収録元 / DO BOOK 1993年2月号
九歳の旅立ち 事例01

九歳の旅立ち 事例01