津島佑子、の場合 ── 九歳の旅立ち 事例2

津島佑子 1947年生まれ 小説家 太宰治の次女

幼き日々へ / 随筆

私自身の子どもの頃を振り返ると、まず小学四年生に進級した始業式の朝をひとつの転回点として意識せずにいられない。つまり、その日で自分の幼年時代が終わった、と不思議なほどはっきりと感じた。私は三月末に生まれているので、その日は九歳になったばかりだった。

-略-

九歳の私が自分の幼年時代はここで終わったなどと思ったわけではないが、今の私は、やはりどうしてもそう言っておきたい。


  • 出典 / 『幼き日々へ』 講談社 1986年発行

以下は、上記の引用部分を含む箇所の全文。

「九歳の旅立ち」を命名する
 子どもの発達は、直線的ではなく、階段状に進む。ゆっくり徐々にではなく、ある日突然、きのうまで出来なかったことが、ふと出来るような気がして実現する。「こども」が「おとな」になるときも、きっとそうだ。この変化に追いつけないのは、むしろ「おとな」だろう。(2017.4.15...

山田利行 2017.4.16抄録